未来観測
職員室に戻り雑務をこなしながら
ふと考える

昔からそうだった。
不器用なあたしは好きな人ができるとすぐに顔に出てしまうタイプで
ばれてないと思ってるのは本人だけ。


…となると。

このままじゃまずい。
本人になんてバレたら、あたし確実にこの学校にいられなくなる!

不景気といわれる時代にようやく見つけた就職先だ。
そう簡単に手放すわけにはいかない。



頭を冷やさなくちゃ。

そう思ったあたしはいつもの様にあの教室に向かおうと、職員室の教師名簿に“英語教員室”と書いた


最初の頃は、ほとんど使われていない教室にあたしが入り浸ることを心配する先生もいたけれど
半年間も同じような毎日が続くと、誰もが諦めたのか何も言わなくなった


年配の先生方からしたら、あたしはまだまだ頼りない先生なのかもしれない。

それでも生徒や先生との人間関係においては、妙に要領の良いあたしは
なんだかんだで上手くやっていたんだと思う

だから。
だからこそ
忘れなくちゃいけない想いなのだ



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