未来観測
薄暗い廊下を渡って、いつもの教室に向かう

ゆっくりと扉を開けると
少し埃っぽい空気が鼻についた
だけどそこはあたしのとっておきの場所だ

いつもの定位置に腰を下ろすと
ふっと肩の力が抜ける


もう夜も近いというのに
太陽は休む気配もなしにきらきらと光り続けていた



時々この景色を見ながら
どうしようもなく寂しくなる時がある




親元を離れ上京してこれたのはいいものの
右も左も分からない世界に足を踏み入れて
誰に頼るでもなくここまできた。

でも時々。
ぷつんと糸が切れたように気が緩んだ時。

あたしだってほんの少しは誰かに頼りたいし
誰かに傍にいてほしい時だってある。





「会いたいなぁ…」





気付けばあたしは
無意識にそんな言葉を口にしていた



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