未来観測
隣の生徒が心配そうにあたしを覗き込み
眉をしかめる


「あ…ううん。
さっ。早く授業行って」


悟られないように。
動揺を見せないように。


「はぁーい。
じゃぁ先生後でね~」


ぞろぞろと群れをなして教室を移動する生徒を横目に
あたしはある一点から目が離せなくなっていた




ふわふわと風に揺れる柔らかそうな髪
人を一瞬で惹きつける笑顔
何より

彼がそこに存在するというその事実が
あたしの全てを締め付ける




「あ!えりちゃんじゃん」



あまりにあたしがそちらを見続けていたからだろうか。
少し困った顔で、グループの中の一人の男子生徒があたしに視線を向けた


その瞬間胸がドキッと音を立てた

彼の全てに全神経が集中する




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