未来観測
張り詰めた空気に
頭がどうにかなってしまいそう
彼が口を開き
何かを言おうとした瞬間
タイミング悪くあたしの手から参考書が滑り落ちて
静かな教室にドタンッと大きな音が鳴り響いた
思わず「ごめんっ」という謝罪の言葉が口からこぼれる
もう、何やってんだろ。
急いで参考書を拾い、勢いよく顔を上げると
突然目の前に現れた彼の顔。
一瞬何が起こったのか分からず、驚いたあたしは
大袈裟に尻もちをつく
「っいった〜……」
その様子に大笑いした彼は苦しそうにあたしを見た
「せんせー、平気?」
「…もー!
笑わないでよ!
本当に痛いんだから!」
「だからー。大丈夫?って聞いてるじゃん」
今だに笑いが止まらないのか
彼は少しだけ涙が滲んだ目であたしを見て
その後手を掴み、ぐっと勢いよく起き上がらせてくれた
「せんせー?」
「ん?」
未だに少しだけ痛むお尻をさすりながら彼を見ると
そこには何だかいつもよりも優しく微笑む彼がいた
「俺、せんせーのそういうとこ大好きだよ」
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