未来観測

今日もいつもの様にその教室に向けて足を進めていると
教室の前に一人の男子生徒がいた

あれ…?
今日は全員下校だったはずなのに。

不思議に思いながらも
扉の前に立ち尽くす生徒に私は声をかけた


「どうかした?」


するとその生徒は
あたしの声にびくっと肩を震わせ
すぐにこちらに焦点を合わせた


綺麗な栗色の髪に
まだ華奢な身体
大きな瞳に
見るからに人懐っこそうな顔立ちをした少年がそこにはいた

思わずその少年に見とれてしまった自分に赤面したあたしは
すぐに自分が教師だということを思い出す


「誰か先生に用?」


「…あ、はい。
南先生っています?
俺今日課題出すの忘れちゃって。」


「南先生?
あー。今日はもう帰っちゃったかもなー
よかったらあたしが渡しとこうか?」

「え!まじっすか?
でもその課題今日までなんですよね…
やばいかなー。」




笑ったり困ったり。

さっきから表情がコロコロ変わる彼に
何だか少し笑ってしまうと
彼が不思議そうにあたしの顔を見た





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