未来観測

それは一瞬だったと言えば一瞬だったのかもしれない

だけどその時のあたしには
何十秒にも何分にも思えた


「先生の言ってる良い関係っていうのはこういうこと?」


目の前には余裕そうな顔であたしを見つめる彼がいて
あたしはその目を真っすぐには見れない


「何にも言わないっていうのは、肯定してるってことだと思っちゃうよー」



彼の声は当たり前のように耳に入っているのに
あたしはその言葉に肯定も否定もできないでいた




だって。

あたしは出来損ないでも教師なわけで。
彼を好きになっても
それが現実にこういうことになるだなんて、想像もしていなかった


それなのにキスなんて…。
しかも生徒と…!




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