未来観測
やばい、やばい。
緩んだ頬をきちっと引き締めて
あたしはすぐにまた教師の顔に戻る
「南先生厳しいからね〜」
「…ですよね。
やっぱもう無理かー。」
しゅんとする彼の姿を見て
何だか分からないけど、無性に心苦しくなった。
「…うーん。
本当はダメなんだけど…
今回だけは、あたしから上手く言っといてあげるよ。」
「え?本当に!?
わー!
先生ありがとー!
俺この課題出さないと、今回の成績やばくってさ。」
「今回だけだからねー」
あたしの言葉に一気に笑顔になった彼は
何度も何度も御礼を言って帰っていった
ー三年五組 赤谷寛人(セキヤ ヒロト)ー
課題の表紙に書かれていた名前にふと目を止めた
三年生か…
どうりで見たことがないはずだ。