未来観測
この時。
あえて海人に高岡先生のことを言わなかったのは
別に隠していたわけでもなく
ただ面倒だったから。

もし今“高岡えり”という単語をこいつの前で使ったら
ギャーギャーと騒ぎ出すのは目に見えている



「俺ちょっと帰り寄るとこあるから、先帰ってていーよ」


「お!
もしかしてリエちゃんとデートですか?」


「そうそう。
だから邪魔しないでくださーい」




少しだけ変な罪悪感を海人に感じてしまった俺は
そそくさと目的地に向けて足を進めた


昨日までは全く興味のなかった“高岡えり”という存在。

この時の俺は、南のことがあったからなのか
昨日よりほんの少しだけ彼女に興味が沸いていたんだ



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