未来観測
あの日みたいに。
コツンコツンとヒールの音が廊下に鳴り響く

初め彼女は俺を見た瞬間に、少しだけ不思議そうな顔をした
その後すぐにあっという声を漏らし、俺に近付いてくる



「先生!
昨日は本当ありがとうございました!
先生のおかげで、何も言われずに済みましたよ」


「本当?よかった。
今度からは気をつけるんだよ〜」



改めて近くで見るとやっぱり美人だよな~。
何ていうか色っぽい。

南もこの若い教師のデレデレ声にやられたのだろうか。
そんなことを悶々と考えていると
目の前からギシギシと扉を開ける音と、“それじゃぁ”というか細い声が聞こえた




なぜかは分からない。
多分ほとんど無意識だったんだと思う

ただ突発的にもう少しだけ。
後ほんの少しだけ彼女のことが知りたいと思ってしまった自分がいて
気付いたらこう叫んでた




「ねー!先生。
ついでって言ったら悪いんですけど、俺に英語教えてくれませんか?」




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