未来観測
それからの30分間。

彼女はいつもよりよく笑い
いつもよりよく俺の話しに聞き入っていた

先生のいいところは
相手の話しをちゃんと聞いてくれるところ。
これはリエも言ってたことだけど
先生が生徒に人気の理由はここにあると思う。
生徒だからって下に見ないで、対等に接してくれる彼女に
みんな好感を持つんじゃないかなって


目の前で涙を流すほど大笑いしている先生に
俺は軽くため息をつき、口を開いた


「良かった。」


すると少しきょとんとした表情を作った彼女は
不思議そうに俺を見る


「…ん?何が?」


「だってさ、今日朝から先生ずっと元気なさそうだったし。
俺がここに来た時も何かいつもと違ったからさ。
だからそんな風に笑ってくれてちょっと安心した」


「うそ?
いつも通り全然元気だけど?」


明らかに動揺した先生は
即座にお得意の作り笑顔を俺に見せる


「…そっか。
俺の勘違いなら、それはそれでよかったんだけどね。」



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