未来観測
「ねーせんせー。」


「ん?
なにー?」


「もうすぐこの補習始めて一カ月が経つじゃん。」


「…あぁ。
そういえばそうだね」


この補習の約束は一ヶ月間。
明後日の模試までという約束だった


「そのさ…
明後日の模試のことなんだけど」


「うん?
どっか分かんないとこでもあった?」


そう平然という彼女に
俺は重い口を開く


「最近さ、明後日の模試が終わったら、先生とこーやって放課後会うこともなくなっちゃうんだなーって思ったら、妙に寂しくなってきた」


いっつも先生をからかってばかりだった俺だけど
これだけは本音だった

明後日で終わりなんだ。
そう思うだけですっごく寂しい気持ちに襲われる


「何言ってんの。
受験生は受験生らしくお勉強のことだけ考えてなさーい」


俺の発言を聞いて少しだけ困った顔をした先生は
すぐに教師の顔に戻り、俺にそう告げた

分かってる。
先生はそう言うしかないこと。
分かってるけど…


「そっか。
先生は全然寂しくないんだ?」



ねぇ先生。
これは俺だけのわがまま?



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