EMERALD
《見えそうで見えない、というのは、歯がゆいな》
《・・・・・・余計なことは、考えない方がいいと思いますよ》
テーブルに置かれた、黄色のキャンディ
手にとり、ジャンは口の中に放り込む
《深みにはまる前に、忘れた方がいいんです》
《僕が、恋をしてると思うのかい?》
笑って問い返すレオナードに、ジャンは言葉を選びながら口を開く
《殿下は、自ら女性と関わったりしません。御自身の立場をよく分かっていらっしゃいますし、女性の本心を見抜ける方ですから》