EMERALD
ROSE QUARTZはささやかな愛
夏休みの課題を、目の前で必死に写すみちる
見つめながらも、違うことを考えている
あの夜、久しぶりに訪れた夏祭り
慣れない浴衣と、異国の王子
現実を忘れさせる要素は、十分にあった
けれど、それ以上に現実を忘れさせたのは、異国の王子の行動
あの時、恥ずかしいことだが、キスされるかと思った
「・・・・・・・・・ッ」
思い出して、世羅は机に突っ伏した
「世羅?」