EMERALD
「えっと・・・、お菓子が好き、って言ったんだけど・・・」
「え・・・。あ、あぁ・・・。ごめん、なさい」
恥ずかしくなって、世羅は台所の奥に引っ込む
「・・・・・・違うわ」
好きではない
そんなはずはない
手を伸ばしても無駄だと分かっているのに、手を伸ばしたりはしない
「・・・・・・違う・・・」
呟いて、世羅は視界に入った紅茶の箱に手を伸ばした
自分の世界から、出ようとしてはいけない