EMERALD
そう言って、ジャンは応接間を出ていく
残された世羅は、渡されたカップを見つめる
ゆらゆらと、薄紅色のお茶が揺れている
「・・・美味しい・・・・・・」
とは言えど、居心地が悪い
座ってるソファーも、今触れてるカップも、すべてが高級品
壊したり、汚したりしたらどうしよう
挙動不審になりながら、世羅は早く帰りたい気持ちにかられる
《お帰りなさいませ、殿下》
《兄上に連絡を入れておいてくれ。今夜、改めて私から連絡を入れると》