EMERALD


そう言って、ジャンは応接間を出ていく


残された世羅は、渡されたカップを見つめる

ゆらゆらと、薄紅色のお茶が揺れている


「・・・美味しい・・・・・・」


とは言えど、居心地が悪い

座ってるソファーも、今触れてるカップも、すべてが高級品

壊したり、汚したりしたらどうしよう


挙動不審になりながら、世羅は早く帰りたい気持ちにかられる


《お帰りなさいませ、殿下》

《兄上に連絡を入れておいてくれ。今夜、改めて私から連絡を入れると》


< 250 / 627 >

この作品をシェア

pagetop