EMERALD


落ち着いた声のまま、世羅はレオナードからリストを受け取った


これが最後だと、自分の心に決めた

だから、今目の前に彼がいたとしても、【私】は【私】を忘れちゃいけない


「留学でも、するの?」

「・・・・・・気にしないで。私の進路だもの。殿下は自分のことだけ、考えていて」


その微笑みは、とても優しかった

けれど同時に、心が見えない

透明な壁が、そこにはできていた


「さよなら、殿下。拾ってくれて、ありがとう」


< 432 / 627 >

この作品をシェア

pagetop