EMERALD
(これで、いいのよ。あの人が国に帰れば、私は完全に忘れることができる・・・。忘れること、が・・・)
覚悟していたことだから、泣かないし、戸惑ったりもしない
女は、強いから
「着きました、どうぞ」
「ありがとうございます。・・・ジャンさんは、来ないんですか?」
車を降りようとした世羅が、動かないジャンに声をかける
「僕は、招待状を持っていません」
「・・・・・・??」
「今、あの方と会うことができるのは・・・、あの方が逢いたいと願っているのは、貴女だけです、ミス・セーラ」