EMERALD
語り──世羅
3月の風は冷たいけれど、間もなく訪れる春を待てば、冷たい中にも感慨深いものがある
今日は卒業式
3年間を振り返っても、思い出すのはこの1年間だけ
長くて、短くて、一生忘れない1年間
「世羅、写真撮ろ、写真」
カメラと携帯、両方で写真を撮るつもりなのかしら?
笑いながら、カメラと携帯を手にみちるが走って、私に向かって来る
「原田、卒業証書を忘れるな」
そのあとを、安達さんがみちるの分の卒業証書を持って歩いて追っている