EMERALD
誰もいない部屋は、とても広くて、とても静かだった
最初、立ち上がる気力もなかったけれど、枕元に置いてあった黒い箱を見つけた
真っ白なリボンと、再び薄紅色のカードが添えられていた
【親愛なるセーラへ これを、君へ贈る】
ただ、それだけしか書いてなかった
箱の中には、金色の鍵
なんの鍵かは分からないまま、私は今も首から下げている
12月のあの夜から、もう2ヶ月以上たった
忘れるための時間は、これから先、いくらでもある
余るほどに