EMERALD
《寝ましょう。明日、朝一の便でベルンハルツに行くのよ。寝不足じゃ、困るわ》
そう言って、彼女はもう何も言わなくなった
世羅は天井を見上げて、瞳をゆっくり閉じた
まぶたに焼きついて離れないレオナードの姿が浮かぶ
会える
それは、とても嬉しい
けど、嬉しいから、とても辛い
流れた一粒の涙に、世羅は自身の思いを密やかに知った
とても、とても静かな夜だった
2人の乙女が、悩み苦しむには、似つかわしくない程に、静かな夜だった───