EMERALD
語り──レオナード
僕は、王子だ
生まれた時から
生まれる前から
僕は、王子だった
その肩書きは、時に重く、時に誇り高く、僕を振り回す
1つの国の【顔】として生まれ、育ち、自分の立場を恨めしく思ったことなどなかった
恨めしい、という感情さえ、浮かばない程に、僕は王子としての自分を受け入れていた
だというのに、人はこうも簡単に、自分の過去を呪わしいと思うのか
王子の名に、僕は初めて傷をつけたくなった