EMERALD
確かに、と世羅は頷く
ベルンハルツの王子様が来て以来、女子は彼の後を追うばかり
騒がしい、というより、浮かれている、の方が合っているかもしれない
「世羅は、お姫様に憧れないの?」
「憧れはしても、手を伸ばそうとは思わないわね」
「どうして?」
立ち上がり、世羅は読んでいた本を閉じる
「無駄だと分かっているからよ。本、返してくる」
教室を出ていく世羅に手をふると、みちるは再び窓の外へと視線を戻した