EMERALD
青空を見上げて、シルヴィアは小さく呟いた
《愛は幻だ。掴もうとして掴めるものではない。得ようとして、得られるものではない》
《妃殿下?》
クラウスがシルヴィアに声をかける
しかし、シルヴィアは応えない
《愛は幻。それでも、幻を失うことを恐れるようになったとき、それは真の愛に変わるのかも、しれないな》
《殿下にお伝えしますか?》
クラウスが微笑む
《自ら気づかねば意味がない。馬鹿息子が行動を起こしたとき、私もそれに応えよう》