EMERALD
「兄は、既に結婚してる。大学卒業と同時に、決められていた女性と」
「貴方も?」
世羅の問いに、レオナードは首をふる
「僕にはいないよ。・・・生涯の伴侶は、自分で選びたいから」
サングラスを付けて、レオナードはもう一度微笑む
「帰ろう。・・・あの時の薔薇、まだ持ってる?」
「・・・持ってるわ。それが、どうかした?」
「いや・・・。君は、優しい女性だ」
サングラス越しに、緑色の瞳が微笑んでいる