Morning moon
「なんか上手くいかなったみたいだな。」

前方には理華を置いて、一人で歩く剣の姿が小さく見える。

「あのままじゃ大越さんもかわいそうだね。夜道は危険だから二人とも僕が送っていくよ。」

先輩はそう言って、私の肩を離した。

「理華!」

奏美は駆け寄った。

その気配に気づいた理華は、我にかえったように振り返った、溢れそうな涙を必死に堪えて…

「奏美…私ね…ちゃんと言ったんだけど…やっぱり剣ちゃん奏美のことが…」

「ごめんね…私何も気付いてなかったから…。」

「奏美は悪くないから謝らないで。」

そこへ先輩が追い付いてきた。

「大越さん。ごめんね。僕が中津川を挑発したから。」

「もういいんです。でも私諦めない。なんか頑張れそうな気がするんです。」

「理華…。」
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