Morning moon
サンドラの集める蜜は、魔法界一だった。

もちろんビエッタもそれに匹敵する技術の持ち主ではあったが、やはりサンドラには敵わなかった。

「もう一度花摘みをする気はないのかい?」

「私は一度引退した身。そうやすやすと戻ってしまっては規律が乱れますゆえ。」

「相変わらず頑固じゃの。」

「もう長い年月を生きてきました。それくらい頑固になるのもいたしかたないことかと。」

「堅苦しい話はそこまでにして、テラスでお茶でもしませんこと?」

王妃の提案で、城の中階層にあるテラスへ移動した。

3人でお茶をすすり、眼下に広がる森を一望しながら、サンドラは重い口を開いた。
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