Morning moon
「そうだよ。」

「私、いつもおばあちゃんのを飲んでるんですけど、味が違うなって思って。」

「ああ、君はサンドラさんの孫だったよね。これはビエッタさんの蜜だ。蜜は摘む人によって味が少しづつ違うんだよ。」

「そうなんですか?」

「ああ、そうだよ。同じ材料でもそれを扱う人によって幾重にも変化するんだ。」

「だからなんだ。甘いんだけど、何かが違う感じ。」

「今魔法界ではビエッタ一家の蜜しか出回ってないから、みんなこの味に慣れてしまったけど、
サンドラさんが引退した直後は、あの味を懐かしんで皆が今の君と同じことを言っていたよ。」

「そうだったんですか。なんかおばあちゃんて偉大。」

「うん、サンドラさんは偉大な花摘みだよ。」

会話はそこで終わり、リチャードは持ってきた杖をカウンターの上に並べた。
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