Morning moon
結局そのお薦めの桜の杖を買って、店を出た。

広場まで戻ると、オープンテラスのカフェに二人を見つけた。

「お待たせ!」

駆け寄ってみると、さっきの険悪な雰囲気はもうどこへやら、二人が仲良く談笑していた。

「決まったか?」

「桜の杖にしたの。」

「へー桜なんだ。なんか素敵!奏美のイメージにぴったりよ。」

「ありがとう。初心者だから使いやすい方がいいだろうってリチャードさんが選んでくれたの。」

「あいつの見立ては正確だからな。きっとそれが今の奏美には最適だよ。」

「うん。これから力が強くなってきたらまた買いかえればいいんだって。」

奏美は袋から杖を取りだした。
ほんのりと木の匂いが鼻腔にたどり着く。
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