Morning moon
若葉が雨露に濡れる頃、奏美は剣を呼び出した。

体育館へ渡る通路で雨宿りしながら剣を待つ。

「なんだよ奏美。」

「あのさ。」

周りに誰かいない目配せしてから奏美は話し始めた。

「やっぱり、私剣の気持ちには応えられない。」

剣にとっては、わかりきった返答だった。

しばらく思案するように黙りこみ、それからゆっくりと口を開く。


「俺は待つ。」

「でも…。」

「お前沙欄先輩が好きなだろう?でも俺はあきらめないから。」

「剣…。」

「じゃあ俺行くわ。」

私の決意を無駄にするような態度で剣は行ってしまった。
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