Morning moon
家から外に出ると、泉の近くの森に出た。

森と言っても、それほど深くはなく不気味さはない。

魔法の世界の森っていうと、もっと薄暗くて、奇妙な生き物とかがいそうだけど、ここは全然違っていた。

人間界と同じようなかわいい小動物もいるし、今のところ怖い目にはあってない。


学校は、森をお城とは反対方向に抜けて、町の中央にあった。


奏美は月明かりを頼りに歩いて行く。

森を抜ける小径にだけ、きちんと光が届く

奏美の歩調に合わせて、木々達が月明かりを足元まで落としてくれていた。

すっかり夜も更けているのに、灯りも持たず歩けるのは、魔法界だからだろう。

もし敵が侵入したならば、森の木々が明るさを奪い、先へ進めないよう迷路のように位置を変える。

こうして歩けるのは、森が奏美を認めているからだ。
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