Morning moon
「リチャードさん、私これにします。」

「毎度あり。ちょっと値がはるけど大丈夫かい?」

「あ…忘れてた…。」

黒檀の杖は、貴重な素材だけに奏美が立てていた予算をオーバーしていた。

「だめだ…。」

「いいよ。持っていきなさい。その代わりサンドラさんの蜜を少し分けてくれるかな?」

「おばあちゃんの?」

「ジャムの小瓶ほどでいいんだ。実はうちの奥さんが妊娠してね。安産祈願に分けてほしいんだよ。」

「わかりました!足りない分の代金は、蜜で払うってことでいいですか?」

「いや、分けてもらえるならお金はいらない。それくらいサンドラさんの蜜の方が貴重なんだよ。」

「でもそれじゃ…。」

「いいってことよ。悪いけどサンドラさんに聞いてみてもらえるかな?」

「わかりました。」

奏美は丁重にお礼を言って、家に戻った。
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