Morning moon
おばあちゃんの部屋でリチャードさんの提案を伝えると、快く蜜を分けてくれた。

そして奏美の持ち帰った黒檀の杖をしげしげと眺める。

「奏美がこんな杖を使えるようになるなんてね。想像もしてなかったよ。」

「この杖ってそんなにすごいの!?」

「ああ。黒檀は貴重品だ。純血でもあまり使う人はいないよ。それがまだバチャラーにもなってない奏美が使うとは。」

「なんか怖くなってきちゃった。」

「心配しなくてもいいよ。リチャードは腕のいい道具屋だ。目利きに間違いはない。」

「ならいいけど…。じゃあ私リチャードさんに悪いから早速この蜜を届けてくるね!」

「そうしておやり。もし蜜が足りなくなったら、いつでもまた分けてあげるからと伝えておいておくれ。
あそこの奥さんは身体が弱いからね。たぶん危険なお産になるよ。」

「え…?」
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