Morning moon
「はい。ありがとうございます。」

不安が消えたわけではなかったけれど、親戚のお店なら少し気は楽だ。

案内された席は、他とは隔離されていて、回りの柱が目隠しとなり、ちょっとした個室の雰囲気になっていた。

椅子に座ると、先輩と二人きりだと意識され、緊張が高まる。

「コースで予約してあるんだ。相葉さんは未成年だから、食前にはブラッドオレンジのジュースにしておいたよ。」

「すいません、気を使ってもらって。」

先輩の気遣いが嬉しい。

ブラッドオレンジジュースは、太陽の味がした。

若い奏美にはピッタリだった。

「どう?」

「美味しいです!」

常盤緑のワンピースに太陽の味のブラッドオレンジ。

奏美は一瞬森の中にいるかと錯覚をした。
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