Morning moon
奏美は見ていられなかった。

人間の死の方がまだ受け入れられる。

会いたいと思っても、本当に会えなくなるんだ。

悲しいけれど、それが現実で受け入れなくては生きていけない環境が強制的にできる。

なのに、おばあちゃんには会いに行ける。

自分だけが…。

悲しむお父さんとお母さんを見ることになると思うと、胸が痛んだ。


台所での片づけが終わって、おばあちゃんは自室に戻った。

魔法界の家へ帰る準備だ。

ここで使っていた家具はそのまま残しておく。

それ以外のものは、全てクローゼットの奥の家へ運び込んだ。


全ての準備が整った後、おばあちゃんから部屋へ来るように呼び出された。
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