Morning moon
「じゃあ私は行くよ。みんな元気でな。」

おばあちゃんは、クローゼットの扉を開けた。

「おばあちゃん!!」

奏美が最後に大きな声で呼ぶと、一度だけ振り返り笑顔を見せてくれた。

パタン

無情にも扉が閉まると、部屋の中の空気が変わった気がした。

奏美は急いでクローゼットの扉を開けた。

でも中は空っぽで、その先に続く扉もない。

行ってしまった…

振り返ると、お母さんがお父さんに支えられながら部屋を出るところだった。

奏美は二人を追いかけられなかった。

魔法界に行ける自分が、今はきっとツライ存在に映るだろうから。

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