Morning moon
その晩、夢を見た。

魔法界の森の中、湖の向こう岸に立つおばあちゃんが何か言ってる。

奏美は、映像のピントを合わせるように、音に集中した。


『迷ってもいい。立ち止まってもいいから、自分の意思で動きなさい。
それからお前は、魔法使いと結婚するよ。』


最後の言葉に飛び起きた。

「うそ…。」

(魔法使いと結婚するって、それじゃ沙欄先輩とは…無理ってこと?
あんなに思わせぶりな事言われて、その気になってる私は?)

嫌な汗をかいた。
少し早起きになってしまったけど、奏美はシャワーを浴びに階段を下りた。


シャワーを浴びて、すっきりすると、リビングからはいつもと同じテレビの音。
少し躊躇ったけど、意を決して扉をあけると、いつもと変わらぬ光景が飛び込んできた。
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