Morning moon
リビングに行く前に、おばあちゃんの部屋の扉を開けてみた。

家具は何一つ変わってない。

でも、閉じられた紫紺のカーテンが外の世界を遮断しているかのよう

主を失った部屋は、呼吸をしていないように見えた。

奏美は奥へ進みクローゼットの扉を開ける。


昨日と同じだ。

衣服が何一つない、空っぽの空間。

試しに奥の壁を叩いてみた。

ドンドン

何も起こらない。

おばあちゃんは本当に行ってしまったんだ。

2度もこの現実を突き付けられて、奏美は少しだけ諦める覚悟が出来た。
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