Morning moon
王子が止まった。

「目を合わせられない事情は聞いています。でも、聞きたいことがあるの。だから、そのままでいいから答えて!」

銀髪王子は、コクリと頷いた。

「わたしはあなたにとって何なの?」

森を抜ける風に銀の髪が揺れる。

「以前私に言ったことを覚えていますか?『大切な人だから』って。」

王子は再び頷く。

そして、その口から声が漏れた。

「ちゃんと覚えているよ。君は僕の大切な人だから。ごめん、今日はまだ振り返ることが出来ないんだ。

でも来月の満月の夜明け。またここにおいで。それまでに自分の近くに魔法界の入り口を作っておくといい。」

それだけ言うと、王子はすっと森の中へ姿を消した。
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