Morning moon

「どれだけ小さくても、ルールはルール。
でも魔法界で騒ぎを起こしたくなかったから、僕とサンドラさんと王だけの秘密にしておいたんだよ。」

もし王子の結婚相手がわずか5歳の時に決まってしまったと知れたら、ちょっとした暴動も起きただろう。

それに奏美が覚醒するという保証もなかった。

人間の娘と結婚などということが知れたら、魔法界はどうなっていたか。

「でもどうして、森の中で私と目を合わせないようにしていたんですか?」

「顔を見たら僕だってバレるでしょ?」

「確かに…。」

「それに君が魔法学校で、このルールを知ることになると思った。その時、森で出会ったのが僕だとわかったらパニックになるだろう?。」

先輩の言う通りだった。

暁方の月が、鮮明に見えるようになってきた。

「じゃあ私は行くよ。夜更かしは老体に響くからね。」

自分の役目は終わったから、後は若い二人の時間だよと背中で言い残して、おばあちゃんは、森の中へ消えていった。
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