Morning moon
「剣…ごめ…っ…」

剣は、どさくさに紛れて奏美を離さなかった。

「あぶねーから、降りるまでこうして捕まえといてやる。」

奏美からは見えないけれど、剣は耳まで真っ赤になっている。

そんな様子を、周りのサラリーマンやOLは、青春っていいなぁと昔を懐かしむように、見守っていた。


駅前に到着して、かなりの乗客が降りた。

奏美と剣は、あと二つ先のバス停まで乗っていく。

流れる乗客の波に飲まれないようにして、二人掛けの席へ座った。
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