Morning moon
奏美は王子と一緒に城に向かった。

もちろん王と王妃に会うために。

遠くに王子の姿を見つけた門番は、王子を待たせないように跳ね橋を降ろした。

おかげで立ち止まることなく、城の中へ入ることが出来た。

王子が女性を連れてきたことは、門番から瞬時に城内へ伝えられた。

執事が恭しく二人を迎える。

そして黙って王の間へと導いた。

緊張する奏美を見て、王子は優しく耳元で囁いた。

「大丈夫。いつも通りの奏美でいて。」

「はい…。」

王座までの距離が長く長く感じた。

一歩一歩がとても重くて、途中で足が動かなくなるんじゃないかって。
< 394 / 458 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop