Morning moon
「ただいま戻りました。」

「うむ。」

「おかえりサラン。」

王と王妃はにこやかに迎えた。

「僕は、自分の伴侶となる女性を見つけました。人間界で暮らす奏美です。ご存じかと思いますが、花摘み師サンドラの孫にあたります。」

「その娘の事は、サンドラからも聞いておるし、魔法界でも噂になっておるぞ。クォーターでは異例の早さでマスターまであがってきたと。」

「はい。奏美は人間界でも、僕と同じ勉強をしており、同じ志でいます。これ以上ないパートナーです。」

王子はそこまで言い切ると、奏美を自分の脇に立たせた。

一歩後ろに控えていた奏美は、その数十センチの距離に怯えた。

「さあ、奏美挨拶して。」

王子に促されたものの、言葉が出ない。

「あ…。」

「奏美さん?」

「はい!」

王妃が気を利かせて、問いかけてくれた。
< 395 / 458 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop