Morning moon
「私は…話して下されば…ここまでサランを閉じ込めるようなことはしませんでしたわ。」

そこへサンドラが現れた。

「王妃様申し訳ございません。私の不注意で、このようなことになり、本当に申し訳ございませんでした。」

元はと言えば、サンドラが奏美を連れてきたことが原因だ。

ただならぬ空気を感じて、奏美は逃げ出したくなった。

その気配を感じたサランは、奏美の手を取りしっかりと捕まえた。

「父上、母上。今回の事は子供の頃に起きた事故のようなもの。しかし僕は、あの時奏美に出会っていなくても、きっと彼女を選んだと思います。」

沈黙が続く…

その緊迫した空気を破ったのは、王妃だった。

「もういいわ…今のあなたたちが想い合っていることは、言わなくても伝わります。私が知らない事実があったことは悲しい事。
でもそれ以上に今あなたたちが幸せだという事も事実です。奏美さん、取り乱してごめんなさいね。それからサンドラも昔の事ですからもう気にしないで頂戴。」

「ありがたきお言葉。」

サンドラは頭を下げた。
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