Morning moon
「あのね、お父さん、お母さん。真面目に聞いて欲しいの。」

この切り出し方にお父さんの眉がピクリが反応した。

「まだ娘はやらんぞ。」

「ちょっとあなた。」

何も言ってないのに、先走るお父さんをお母さんが制した。

「僕から話します。お父さんの考えている通り、僕は奏美さんと結婚を前提にお付き合いさせてもらっています。」

想像が現実になり、お父さんは肩を落とした。

「奏美もそんな年になったのか…。」

がっくりと項垂れる父親が、これほど小さく見えたことはない。

「ちょっと、まだ続きがあるの。ここからが肝心だからちゃんと聞いて。」

「奏美さんのおばあさんが魔法使いだったことはご存じですよね?」

不意におばあちゃんの話が出て、お父さんは確実に動揺している。
< 403 / 458 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop