Morning moon
ずっと黙って聞いていた王妃が口を開いた。

「サラン…がんばったのですね。きっと魔法では簡単に出来たことでしょう。
それでもあなたはドクターとしてがんばる奏美とともに苦労を分かち合い、時間をかけて完成させたのですね。」

王妃は何もかもお見通しだった。

「その通りです。僕だけ楽をしては、いけないと思いました。
これから楽しい事も苦しい事も全て分かち合っていかなくてはいけない。
そのための試練だと思えば、たやすいこと。」

「先輩…。」

奏美の為を思っての遠回り。

心が痛くなる。

涙が溢れ、こぼれ落ちる。

そんな奏美の元へ、王妃が歩み寄った。
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