Morning moon
オーラの心配をしていた奏美を見透かすように、先輩がそっと小声で耳打ちしてきた。

小さく返事はしたものの、身体の芯まで解けそうになってしまう。

必死に感情を殺し、化学室に到着すると、明日使う器具を班の数分、それぞれの籠の中に用意した。

試薬は当日測ってから分配するので、今日のところは棚にしまっておいた。

籠をそれぞれの机の上に置いていく。

フラスコやビーカー類が入っているので、案外重い。

奏美はバランスを崩して籠を落としそうになってしまった。

「…!」

キャっと声を出すより早く、先輩が私の身体を支えた。
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