Morning moon
「見たところ君は純血じゃないね。しかも覚醒したばかりのようだ。
サンドラさんの血を引くなら花を摘めるかもしれないけど、今はまだやめた方がいい。」

声の主の方へ振り返りたかった。
そんな奏美の思いを悟ったのか、声の主はさらりと言った。

「ごめんよ。今、僕の姿を見せるわけにはいかないんだ。いずれ逢えると思うから…。」

それだけ言うと、馬の足音が聞こえた。

奏美は自由になった身体を素早く反転させて、音と声がした方向を見たが、白い馬にのった青年の後ろ姿しか確認できなかった。

薄日でも輝く銀髪をなびかせて、颯爽と…。
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