Morning moon
海が見下ろせる高台にある旅館は、このシーズン予約が難しい。

それでも、親戚の特権ってヤツで、なんとか部屋を開けてもらえた。

旅館の食事は夜からなので、荷物を部屋に置くと、皆で近くにあるお蕎麦屋さんに入った。

運転しっぱなしだったおじさんのために、足を伸ばせる座敷を選んだ。

「やっぱりさ、大勢で食べると美味しいよね!」

奏美が大げさに喜ぶ。

「お前は単純に腹が減ってただけだろうよ。」

「そりゃお腹だって空くわよ。」

「もう二人とも、こんなとこまできてやめてよー。」

理華が仲裁に入る。

いつもの学校と変わらぬ光景がここにあった。



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