幾千の時を超えて
プロローグ
上空いっぱいに異界からの侵略者達が広がっていた。
迎え撃つは黒い翼を持つ我が同胞達。
遠く離れた城の展望台であるここまで、剣と剣の交わる音が聞こえてきそうな壮絶な戦い。
力尽き、落ちていくのは敵か味方か。
同胞である魔族ほど視力のよくない私には判別がつかない。
しかも、今は魔力を使うことができない。
足手まといにしかならないために、ここで見ているしかできない。
なぜこのタイミングでこの世界にやってきたのか。
私も戦うことが出来さえすれば、やつらの好き勝手にはさせないのに……。
その現実に歯ぎしりしながら、臨月に近い重い腹部を支える。
「ティス様、もうそろそろ中にお入りください。おなかの御子にさわります」
部下の1人がそう進言してくる。
……わかっている。今の私には見ていることしかできないことは。
しかし、それでもこの戦いを見届けねばならないと感じていた。
あれの妻として。
そして、この世界の守護者として――。
迎え撃つは黒い翼を持つ我が同胞達。
遠く離れた城の展望台であるここまで、剣と剣の交わる音が聞こえてきそうな壮絶な戦い。
力尽き、落ちていくのは敵か味方か。
同胞である魔族ほど視力のよくない私には判別がつかない。
しかも、今は魔力を使うことができない。
足手まといにしかならないために、ここで見ているしかできない。
なぜこのタイミングでこの世界にやってきたのか。
私も戦うことが出来さえすれば、やつらの好き勝手にはさせないのに……。
その現実に歯ぎしりしながら、臨月に近い重い腹部を支える。
「ティス様、もうそろそろ中にお入りください。おなかの御子にさわります」
部下の1人がそう進言してくる。
……わかっている。今の私には見ていることしかできないことは。
しかし、それでもこの戦いを見届けねばならないと感じていた。
あれの妻として。
そして、この世界の守護者として――。