幾千の時を超えて
さて、息子たちとの対面とやらがどうなるか見物だ。

車の中で3人ともまだ小学生と聞いている。

いきなりできた妹にどういう反応をするだろうか。


反発するか喜ぶか。


子供らしい反応というものを学ぶためにも観察したいものだ。

さすがに体裁というものがあるから、外ではおとなしい普通の5歳児として振舞わなければならないだろうからな。


そんなことを頭の中で考えながらうまい紅茶を味わっていると、

(菓子には手をつけていない。甘いものは嫌いだ)

パタパタという足音と、テクテクと落ち着いた足音が聞こえてきた。

その後ろには家政婦と思われる静かな足音。

と、居間の扉が勢いよく開けられた。



「おとうさん! いもうとがきたってホント!?」

視線を上げると扉の前に元気そうな子供とその後ろにもう少し年長の子供が立っていた。



「翔! お行儀が悪いでしょう! 扉は静かに開けなさい!!」

「は~い。ね、ね、いもうとってそのこ?」

まさに元気いっぱいという感じで、まだ幼くこげ茶色の髪をした子供が駆け寄ってくる。

――これが翔か。

「そうだよ、新しく私たちの家族になる沙耶ちゃんだ。
 沙耶ちゃん、この元気なのが翔、沙耶ちゃんの1つ上の6歳だよ。
 そして後ろのが匠、12歳でうちの長男だ」

その言葉に後ろの眼鏡をかけた利発そうな少年が頭を下げる。

長男が優等生、三男が元気溌剌な子供といったところか。

長男はどう思っているかわからないが、三男の方は妹ができたのがうれしいのだろう。

満面の笑みを浮かべて、私の右側に這い上がってきてちょこんと座った。

……これより幼く演技しなければならないのか?

  非常にやりづらいのだが……。


< 24 / 28 >

この作品をシェア

pagetop